生産者86件の回答から、高温による影響と対策の実態、今後検討したい対策を読み解く
北海道のハウス内気温が、40℃を超える。
かつてなら「記録的に暑い一日」の話だったかもしれません。しかし近年、各地を襲う猛暑は、もはや一時的な異常ではありません。
施設園芸の現場では、生育不良や着果不良、出荷量の減少、作業者の体調不良など、高温を起点とするさまざまな課題が常態化しつつあります。その影響は全国に広がり、これまで冷涼だと考えられてきた地域でも、高温被害が深刻化しています。
株式会社いけうちが、過去5年間に当社と接点のあった施設園芸生産者を対象に実施したアンケートでは、有効回答86件のうち約7割が、「毎年」または「複数年」にわたって高温の影響を受けたと回答しました。さらに、出荷量の減少は65%、熱中症または体調不良の発生は56%にのぼりました。
本記事では、施設園芸生産者86件の回答から、全国へ広がる高温被害の実態、生産者が実施・検討している対策、新たな設備導入をめぐる課題を読み解きます。
調査概要
調査結果をご覧いただく前に
本調査は、細霧・ミスト設備の導入者だけを対象にしたものではありません。回答者には未導入者や、過去に当社へ問い合わせたものの導入に至らなかった生産者も含まれています。
なお、調査対象は当社と過去5年間に接点のあった施設園芸生産者であり、全国から無作為に抽出したものではありません。
回答者は北海道から沖縄まで分布し、イチゴ、トマト、キュウリをはじめ、さまざまな品目の生産者が含まれています。また、回答者の70%は、細霧・ミスト設備を導入していない生産者です。
回答者の属性n=86
農場の所在地
主な生産品目
細霧・ミスト設備の導入有無
調査名:施設栽培の『暑さ対策』に関するアンケート 有効回答数:86件 調査主体:株式会社いけうち
日本の夏は、明らかに暑くなっています。
2025年夏の平均気温は平年を2.36℃上回り、統計を開始した1898年以降で最も高い記録となりました。そして2026年も、記録的な高温が続いています。7月中旬と下旬の西日本の平均気温は、統計開始(1946年)以降で最高。最高気温40℃以上の「酷暑日」は、2026年8月3日時点で延べ34地点にのぼり、2025年の30地点を上回って、2010年以降で最多となりました。東海では国内初の5日連続、九州では観測史上初となる酷暑日を記録しました。
出典:気象庁「2026年7月中旬〜下旬の顕著な高温と今後の見通しについて」(2026年8月3日発表・8月4日追記)、および気象庁の各年夏(6〜8月)の天候まとめ。酷暑日の地点数は8月3日時点の集計。
記録的な高温は、もう単年の出来事ではありません。
施設園芸では、日射を受けるハウスの内部が、換気や遮光の条件しだいで外気温を大きく上回ります。冒頭の北海道の農場では、外気温30℃程度の日にハウス内が40℃を超えていました。冷涼な地域でも、高温を前提とした栽培環境づくりが必要になっています。
では実際に、どれほどの生産者が影響を受けているのでしょうか。
直近5年の高温被害を尋ねたところ、「毎年のように影響を受けている」が48%、「複数年で影響を受けたことがある」が22%。合わせて約7割が、複数年にわたって高温の影響を受けています。「影響はほとんどなかった」と答えたのは、86件中4件でした。
高温被害の発生頻度n=86
毎年のように影響 48%(41件)/複数年で影響 22%(19件)/特定の年に大きな影響 1%(1件)/影響はあったが経営上の問題ではない 23%(20件)/ほとんどなかった 5%(4件)/わからない 1%(1件)
調査名:施設栽培の『暑さ対策』に関するアンケート 有効回答数:86件 調査主体:株式会社いけうち
高温の影響は、開花や着果、生育、病害虫の発生など、栽培にさまざまな問題を引き起こします。
調査レポートの続き
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