多機能細霧システムの活用法①
ハウス内の自動防除の有効性と留意点
出所:「施設と園芸」195(2021年秋)号(一般社団法人日本施設園芸協会)
著者:株式会社いけうちアグロ事業部 渡邉 賢, 土井 将希
冷房・加湿・薬液散布自動化システム
CoolPescon(クールペスコン)は従来の細霧冷房より微細な霧、平均粒子径10~30μmのセミドライフォグを用いて、冷房・加湿・薬液散布を自動化するシステムです。
セミドライフォグにより、作物や施設を濡らすことなく、施設内の均質な環境づくりに役立てていただけます。
またCoolPesconは牛・豚・鶏・馬などの畜舎でも利用可能です。詳細はこちらからご確認ください。
CoolPesconは1台3役(冷房・加湿・防除の3役)の環境制御システムです。
積極的な環境制御によって、収量と秀品率の向上は勿論、収穫期間の延長や変更といったアグレッシブな経営を実現します。
また、CoolPesconには薬液散布機能があるため散布作業を無人化することができます。
作業時間を大幅に短縮できるため、理想的なタイミングで葉面散布や薬剤散布が可能になり、散布遅れによるトラブルを防ぐことができます。さらに、散布作業以外のことに人的資源を振り分けられるようになるなど、より能動的な農場運営を実現します。
*1) セミドライフォグとは、平均粒子径(霧の平均サイズ)が10~30μmの霧を指します。微細かつ濡れの原因となる粗大粒子を含まないため、細霧冷房では濡れの問題が発生していた現場での利用に好適です。似た名称としてドライ型ミストというものもあり、こちらは粒子の大きさに定義がないことから各メーカー・各製品によってそれぞれ大きな差異が存在しています。
CoolPesconで薬液散布を行う際のフロー概要を下記します。
薬液散布を行う際のポイントとして、実施する適切な時間帯や高い防除効果を発揮するための手法、ハウス内の温湿度変化による作物への影響などを『よくあるご質問』内に回答としてまとめています。よろしければご参考までにご一読ください。
CoolPesoconでは加湿(加湿・飽差管理)、冷房(冷房・昇温抑制)、薬液散布(葉面散布、病害予防・対策、害虫予防・対策)を行えます。(*2)
積極的な環境制御を行うことで収量と秀品率を向上させ、収穫期間の延長や作型の変更などの能動的な施策も行うことができます。
また通年での使用が可能という点が従来の細霧冷房装置と大きな違いです。
栽培初期にあたる定植時期では暑さ対策や、蒸散量の不足を補う湿度管理に使用でき、また収穫期には後手に回りがちな散布作業を自動化(無人化)することで、収穫・出荷調整作業に人的リソースを充てることが可能です。さらに栽培の後半でも葉面散布を積極的に行うことで、なり疲れを防ぐなどの活用が期待できます。
*2) チャート表は目安になります。ご利用の地域や施設内容、栽培作物によって前後します。実績などお気軽にご相談ください。
一般的には温度が好適ならば飽差0.4~0.9kPa(3~6g/㎥)で高い光合成速度となるが(右図赤色の部分)、実際には高湿度環境を維持すると各種弊害(乾燥耐性低下・病害リスクなど)が発生するため、いけうちでは最適な環境として飽差1.0~1.2kPa(6~10g/㎥)を推奨している(右図黄色の部分)。
システム性能としては一般的な飽差0.4~0.9kPa(3~6g/㎥)を実現することは可能。
※右図は栽培中のトマト『フルティカ』に発生したオンシツコナジラミに対し、スピロテトラマト水和剤(商品名:モベントフロアブル)を50L(約200L/10a相当)散布した際の写真(千葉大学/野村昌史教授による撮影(2020年5月))。
動力噴霧器による手散布区とCoolPesconによる処理区および未処理区について散布前後の生存個体数を確認したところ、CoolPesconによる自動散布は動力噴霧器による手散布と同程度以上の効果を得ると判断された。
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