いちご園大樹(イチゴ)|濡れない霧冷房でハウス内温度を低下、来園者・従業員が快適に
高原のエコーズ(イチゴ)|夏イチゴ栽培ハウスの省エネ冷房で品質維持、高温障害を防止
ユーザー紹介
多種多様な理論と独自の考えを組み合わせて夏イチゴを栽培している高原のエコーズ様。栽培に選んだのは長野県八ヶ岳山麓に位置し、標高が1000m以上ある富士見町という自然豊かな町。この町に2017年から移住しイチゴ栽培に取り組まれています。現在は12aの連棟ハウスで7,000株を栽培。2021年は1,600万円の売り上げを達成。今後もさらに増収増益の見込みを持たれています。
導入事例インタビュー|代表 鈴木 慎吾様
「長野県の夏秋イチゴ”サマーリリカル”のおいしさを全国各地に提供したい。CoolPescon®導入によって理想の実現に一歩近づくことができました。」
この事例で使われている
ソリューション・製品
夏イチゴ栽培の難しさ
この辺は標高が高いので、夏でも涼しいんですよ。いわゆる避暑地ですね。移住してきて、5年前から、ここで四季なりイチゴ(夏イチゴ)の栽培をしています。避暑地とよばれるくらいですから、ほかの地域と比べれば相当涼しいんですけど、それでもやっぱり夏は暑いですよ。
よく勘違いされますけど、四季なり品種は夏でも収穫できるってだけで、決して暑さに強いって意味ではないんですよ。特に7~8月になるとハウス内の温度もかなり高くなるんで、生育不良オンパレードです。受粉不良や着色不良果、軽度なものも含まれば高温障害による低品質なイチゴは常に発生します。
でもお客さんにとってはそんなこと関係ないですからね。いつでも同じ品質を期待していますから、厳しいですが可能な限り応えたい。そのためにはもう、限界突破しかない!と(笑)。で、いっそ冷房入れちゃおうかなって思い立ったわけです。
雄大な自然と、看板ヤギたちと一緒に暮らす
システム導入の経緯
冷房装置についてはかなり情報収集をしました。完全に温度管理しようとすると、やはり人工光ハウスのような閉鎖環境でエアコンをガンガンに使ってやればいいんだけど、それだとせっかく涼しい高原でやっている意味がないですよね。農業はその土地を生かすビジネスですから。環境を作り出すことにエネルギーをかけすぎてそのコストをお客さんが支払うことになるのは本末転倒です。
地の利の本質を踏み外さず、ほんのちょっと、今あるものを使って、手を加える。そんな省エネルギーで温湿度管理をできるものをと探しているうちに、細かな霧を使ったミスト冷房システムCool Pescon(以下CP)を見つけたわけです。
導入後すぐに効果を実感
2020年の盆に導入、動かし始めてすぐに効果が確認できました。
私のハウスは遮光カーテンを使ってないので暑さ対策は換気窓を全開にするだけです。高原とはいえ真夏の外気温は32~33°C、ハウス内温度は35°C以上でした。それがCP導入後は30°C以下。外よりも涼しいんです。これは期待以上の効果です。前述のとおり2020 年の稼働は盆からだったんですが、そこからでもかなりの成果がありました。
まず高温障害はほぼ出ませんでした。そして生育不良を回避できたことや葉面散布も効いたのか、仲間の生産者と比べ盆以降の生育スピードがずっと早くて、結果的に1回転分くらい多く収穫できたんです。これだけでも約300万円の売り上げアップに繋がっています。
サマーリリカルは2021年に品種登録されたばかりの品種。2018年の試験栽培開始時にポテンシャルの高さにほれ込み栽培を決めた。
葉面散布の重要性
イチゴづくりにおいて葉面散布も重要視しています。特に夏場は暑さの影響で根の活力が落ちてきますし、蒸散も増え光合成の効率も低下する。そうなると養液管理だけではどうしても品質が落ちてしまう。だから夏の間は毎日葉面散布をして、葉から栄養を補給していたんです。毎日夕方に手散布です。きついですよ。
でももっと言えば、本当は葉面散布もただやれば良いんじゃなくて、液肥の内容や成分によって効果的な時間帯があると考えていまして。理想は「光合成が始まる前の午前中にはこれを散布」「光合成後の夕方はこれを散布」という感じで、1 日のうちで何度も撒きたいと思っていたんですよね(笑)
もちろん、さすがに無理ですよ。体は一つですから。ところが、CP導入後はそんな事が本当にできるようになっちゃいました。例えば午前中に散布したい液肥があったら、収穫作業後にでもCPのタンクに必要量を投入するだけ。ハウスは無人の状態で葉面散布できていて、こっちは気にせず選果や出荷作業をしてるわけです。すごい事ですよこれは。
葉面散布の手間がなくなり、時間にとらわれない散布が可能に。
夏はフル稼働。外よりもハウス内が涼しくなった。
薬散布ももちろんCoolPescon®
殺虫殺菌や予防のために、だいたい月に1~2度くらいは農薬を散布する事になるんですが、それもほぼCPに任せてます。
導入前は12aのハウスに対し、薬液の準備・散布・片付けなども含めれば2時間以上かかっていたので、薬を撒く日は大イベントで、他の事が忙しくてタイミングを逃して病気が広がってしまう、なんてこともよくありました。でもCPの自動散布を使えば30分程度で終了します。
加えて元々うちでは微生物剤(バチルス菌・ボーベリアバシアーナ菌)の散布を定期的に行って、自浄作用的に病害虫を抑えて少しでも人間も植物も楽できるような環境を目指しているんですが、そういう菌類の葉面散布もめちゃくちゃやりやすくなったので、農薬散布の回数はより減り、楽になる一方です。
もともとは暑さ対策のために導入したCPですが、結果的に葉面散布や農薬散布にも使用できて、長時間拘束される作業から解放されて本当に助かっています。
まとめ
高品質を目指すと、最終的には光合成の効率をいかに上げていくかという点に行き着くんですよね。CPの冷房、飽差管理、葉面散布はすべて光合成に寄与することですから。狙い通り、導入によって品質も良くなったし、収量も増えてますから、これを選んだのは間違いじゃなかった、これ買ってよかった!と思っています。
夏イチゴは知名度が低く一般の方々にとっては珍しいものです。縁あってせっかくご購入いただいた際「やっぱり夏のイチゴはだめ」という評価にならないよう、品質、梱包、出荷、すべてに気を配るように意識しています。
ゆくゆくは夏イチゴが夏のフルーツの定番として定着してほしいし、自分自身がどこまで美味しいイチゴづくりが出来るかも試してみたい。まだまだやるべきことはたくさんありますが、理想に一歩ずつ近づけていると思います。イチゴに限らずいいものを作りたいと思っている方にはぜひCPを使ってもらいたいです。