[簡易事例]風呂浴槽を自動洗浄するスプレーノズル(洗剤噴霧・泡洗浄)
この事例で使われている製品・ソリューション
- プラスチック製カスタムノズル
お客様の課題
家庭内で日々行われる家事のうち、特に大変という訳ではないものの、時間と労力がかかる事の一つにお風呂の浴槽掃除があります。浴槽は皮脂汚れや水垢が堆積するため、清潔な状態を保つよう定期的に掃除をする必要がありますが、ライフスタイルの変化もあって中々難しいのが現状です(浴槽の掃除が大変なので、割り切ってシャワーだけで済ませるという家庭も増えているようです)。
そんな中、以前から当社とお付き合いのあった某住宅設備メーカー様から、自動洗浄浴槽の開発に取り組むので協力して欲しいとご相談を頂きました。これが完成すれば、日常的に自動で浴槽が綺麗な状態が維持され、かつ人手による浴槽の掃除は月数回で良くなります。
そしてプロジェクトがスタートしたのですが、当然設計・開発段階においてさまざまな課題が浮上しました。仕様としては浴槽底面にスプレーノズルを設置、洗剤とお湯を交互に噴霧してふたを閉めた状態の浴槽全体を洗浄するというものでしたが、
- 低圧での洗浄:一般家庭用なので高圧を使用できず低圧で汚れを落とす必要がある。
- 噴霧量の調整:噴霧量が多すぎると浴槽の蓋の裏側にかかりすぎて洗浄ムラが生じ、一方で少なすぎると蓋に残った洗剤の泡が十分に除去されない。
- ノズルからの距離と角度の差異:浴槽が楕円形であるため、ノズルからの距離や角度が異なり、全体の汚れを均一に落とすことが難しい。
- 汚れが集中する箇所への対応:お湯を張った際の水面(喫水線)は最も汚れが溜まりやすく、この箇所を全周にわたり正確にスプレーする必要がある。
- 構造設計の難易度:これらの課題に対応するためのスプレーノズルの流路設計や噴口の加工難度がとても高い。
など、多くの課題が噴出してきました。
いけうちからのご提案
このプロジェクト推進にあたってはお客様ご担当者様、当社の営業員、当社工場の技術責任者でチームを組み、一から開発を進めました。特に難しかったのが汚れの堆積する喫水線の洗浄と、飛散防止のために必要だった浴槽ふたに付着する洗剤泡の洗浄、そしてお湯と洗剤という性質の違う2種類の液体を1つのノズルで賄う必要があったことでした。
浴槽全体をむらなく洗浄でき、かつ喫水線を重点的に洗浄でき、かつ真上方向も洗浄できるという絶妙なバランスを、一つのノズルと限られた湯量・洗剤量でどう取るか?という所が難しく開発は難航しました。しかし粘り強く開発を進め10数回の設計と試作を繰り返すことで、最終的にはすべての要求をバランスよく満たす浴槽洗浄ノズルの開発に成功し、量産後販売が開始されました。
導入効果
今回の開発はとても難しいものでしたが、お客様からは大変満足の評価を頂いています。また自動洗浄浴槽の「家事の負担を軽減する」というコンセプトがとても好評で、販売開始から1年で10,000戸以上の家庭に設置されるなど人気商品となっており、今後さらに導入が増えていくことが予想されます。