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[レポート]霧を活用した冷却技術/エアフィン冷却

エアフィン冷却
夏場の発電能力低下を阻止する

昨今の想定を超えるような夏場の気温上昇に伴い、発電能力の低下が深刻化している。エアフィンクーラーを使用する工場やプラントでは、その影響を顕著に感じているのではないだろうか。本稿では、エアフィンクーラーの代表例として発電用蒸気タービンにおける空冷式復水器を取り上げ、夏場における能力低下のメカニズムと、その解決策として有効な「霧」による冷却ソリューションについて解説する。

エアフィンクーラーの吸気冷却

エアフィンクーラーとは

エアフィンクーラーは、空冷式熱交換器の一種である。電熱管(チューブ)の周囲に薄い板状のフィンを数多く付けて伝熱面積を増やしたフィンチューブが特徴だ。フィンはチューブ1本ごとに付けられているものもあれば、複数のチューブで共有しているものもある。送風ファンにて冷媒となる空気を送り、空気とフィンチューブ内の流体との熱交換にて、チューブ内流体を冷却する機器である。

身近なものでは、エアコンの室外機や自動車のラジエーターもがエアフィンクーラーとして挙げられる。また、パソコンのCPUクーラーとしても使用されており、ノートパソコンには小型のものが組み込まれている。

産業用の大型機器では、今回取り上げる発電用蒸気タービンの空冷式復水器のほか、石油化学や一般分野でのプロセス流体用クーラーやコンデンサなどがある。冷却水を必要とせず水資源の制約を受けないため、エアフィンクーラーは多くの産業設備で採用されている。

空冷式復水器

蒸気タービン用の空冷式復水器は、フィンチューブ群をA字形状(逆V字形状と表現される場合もある)に傾斜させて配置した独特の形状をしている。頂点に蒸気ヘッダーを有し、そこからフィンチューブ内へ蒸気が流れ、空気との熱交換によって冷却・復水される仕組みである。生成された復水は、フィンチューブ下部に設置された復水ヘッダーで回収される。復水の流れを上から下にすることで、重力により効率よく排出される。送風用のファンは下部に設置され、空気を下方からフィンチューブに向けて吹き上げるのが一般的である。

エアフィンクーラーの概要イメージ

なぜ夏場に能力が落ちるのか

夏場に外気温度が上昇すると、復水器内部の蒸気と外気との温度差が縮小し、熱交換による放熱量(冷却能力)が低下する。その結果、凝縮温度・圧力の上昇に伴い、タービンの背圧も上昇してしまう。

タービンの背圧は真空に近いほど蒸気タービンの熱効率が良いとされる。そのため、背圧の上昇は蒸気タービンの熱効率の低下を招き、発電能力も低下する。

夏場は多くの設備や施設で冷却負荷が高まり、電力需要が切迫する時期だ。そのタイミングで発電能力が低下することは、工場やプラントの現場にとって問題であり、何らかの対策が不可欠となる。

従来型ソリューションの限界

一般的な対策として以下の手法が挙げられる。それぞれに期待される効果はあるものの、懸念事項も少なくない。設備改造が大規模になるほど工事に伴う休止期間が長期化すれば、その間の代替策検討といった新たな課題も生じる。

手段 期待効果 懸念事項
1 ファンの回転数を上げる(送風量の増大) 熱交換量を増やし冷却を促進する ・電力供給ピーク時の消費電力が更に増大
・設備改造を要する場合あり
2 フィンチューブに直接散水する 水と蒸発潜熱により冷却を促進する ・スケール付着による性能や機器への悪影響
・排水処理設備が必要

「霧」による冷却ソリューション

根本的な問題は、昨今の温暖化現象等による外気温度の上昇にある。それならば、どのようにして外気温度を下げればよいのか。

解決策となるのが、株式会社いけうちが提唱する「霧の気化熱」を用いた冷却ソリューションである。構造は、押込み式、吸い上げ式とで異なるが噴霧ノズルと配管を設置するのみと極めてシンプルだ。ノズルへの給水システムを外部に設置する必要はあるが、既存設備の改造は最小限で済み、設備休止期間の短縮も期待できる。また、設置箇所によっては設備稼働中でも設備を休止せず設置が可能である。なにより「後付け」が可能という点は大きなメリットである。

エアフィンクーラーの導入事例

同社の流体技術により、精密に制御された霧がノズルから噴霧される。この霧は、フィンチューブに到達する前の空気、あるいはフィンに接触した瞬間に蒸発(気化)し、その気化熱によって外気温度を下げる。霧による冷却ソリューションの追加によってフィンチューブへの送風温度をコントロールし、蒸気復水器の能力を維持できれば、夏場の外気温上昇に伴うタービン効率と発電能力の低下を阻止できるはずだ。

このソリューションは空冷式蒸気復水器に限定されない。フィンチューブの配置が異なるプロセス流体用のクーラーやコンデンサなどのエアフィンクーラーに適用可能である。

エアフィンクーラーの導入事例

最後に

空冷式熱交換器は外気温の影響を直接受けるが、工場やプラントの安定稼働を支える基幹設備でもある。気候変動や地球温暖化に伴う想定外の気温上昇に対し、現場には実効性のある対応が求められている。

霧による冷却ソリューションは、熱交換に用いる「空気の質(温度)」そのものを制御する技術だ。これは、夏場の発電能力低下を阻止する手段となり得るだろう。

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