アグロ事業
霧の微粒化技術を活用した
新しい農業の創造に
挑戦しています。
事業内容
霧の微粒化技術を活用した新しい農業を創り出すため、ハード・ソフトの研究開発から製造・販売までを担うアグロ事業部を2011年に発足させました。現在、私たちは農業分野に対し、霧を活用した新農法の普及、霧による施設園芸の環境整備、営農事業という3つの取組みを実施しています。
新農法の普及では、IKEUCHIPonics®という私たちの社名を冠した栽培システムの開発・普及に注力しています。これはSDGsにも掲げられている食糧問題・水資源問題に対する取り組みでもあります。液肥を霧状にして作物に供給することにより、最低限の水量での作物栽培を可能にします。将来的には砂漠地帯や宇宙空間などでの作物栽培にも大きく貢献できると考えています。
次に霧による施設園芸の環境整備について、細霧冷房装置よりもはるかに微細な霧(私たちが提唱している霧の分級による”微霧(ビム)”)を用いて、作物やハウス内を濡らさずに冷房や加湿、薬液散布のできる環境制御システムを開発しました。これにより温度だけでなく作物生育に最適な飽差の管理が行なえ、従来その季節での栽培が困難だった作物栽培や周年栽培が可能になります。また重労働かつ健康被害の懸念のあった農薬散布作業を自動化・無人化することで、農業従事者の負担を大幅に低減させることに成功しています。
最後に、私たちは開発したプロダクトを利用して営農試験と栽培作物の販売を行っています。自社農場ではトマト・レタス・イチゴ・ピーマン・ワサビなどの周年栽培を行うことで黒字化の実証を行っており、またスーパーや直販所、ネット店舗などで自社栽培した”霧のトマト”や”霧のGABAトマト”ブランドを販売しています。また、大学、NPO研究会、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、農業参入の企業などと栽培技術や環境制御技術を共同研究し、霧を活用し年間で温湿度制御や飽差制御を行い、周年安定生産の実現と、更なる高収益性を追求しています。
施設園芸の未来を創造
霧のいけうちと農業の繋がりは深く、創業当時まで遡ることができます。ある農業機器メーカー様から「現在農薬散布をしているノズルは摩耗により寿命が短い」というお話を伺ったことから、耐摩耗性に優れたセラミック製スプレーノズルを開発し、私たち最初の製品としてご提供したのが出発点です。開発したノズルはそのメーカー様だけでなく業界全体に喜んでいただけ、またこのメーカー様とは現在に至るまで70年に渡るお付き合いをさせていただいています。
その後も散水、洗浄、加湿や調湿といった幅広い用途に霧の技術は活用されてきました。私たちの持つフォグエンジニアとしての技術やノウハウは農業との親和性がとても高いことから、私たちは今後も引き続き業界の発展に貢献出来ると考えています。
近い将来、環境悪化や世界人口の増加、紛争などによって食糧を安定的に確保することは困難になるといわれています。また国内においては今後一層少子高齢化の進むことが予測されています。農作物の安定生産と労働環境の改善が急務となっていることから、施設園芸や植物工場での自動化・無人化・高収量化など効率的な生産へのシフトが注目されています。
そのため施設園芸における作物の高収量化や、周年栽培実現、自動化や省力化に向けた研究開発はとても重要な使命となります。私たちが開発した製品はすでに多くのフィールドで利用されており、そこから得られた評価とフィードバックをもとに、より良い製品作り、施設園芸や農業の未来作りが出来るよう取り組んでいきます。