[インタビュー]株式会社ガスワンホールディングス ガスワンパーク上尾さま|LPガス・プロパンガス充填所(防爆エリア)の熱中症対策
[事例]LPガス充填所|従業員を暑熱から守れ!夏の過酷な重労働を支える屋外ミスト冷房


この事例で使われている製品・ソリューション
本記事では、夏場の暑熱対策として当社の屋外用ミスト冷房システムを導入された、あるLPガス充填所さまの事例を紹介します。
お客様の課題
LPガス充填所は、タンクローリーで運ばれてきた液化石油ガスを家庭用・業務用のボンベに詰め替える施設で、海外から輸入されたLPガスを日本国内で流通させるサプライチェーンにおける重要な拠点でもあります。屋外施設であるため直射日光や地面からの照り返しを受け、夏場は作業環境が非常に厳しくなります。
充てん作業そのものは自動化されていますが、空ボンベをコンベヤに載せる作業や、充てん後に約90キロの満タンボンベを傾けて転がし、所定の位置に並べる作業は人力で行わざるを得ません。しかも1日あたり約2,000本を扱う必要があり、暑さと相まって体への負担は大きなものでした。
90キロ近いボンベを傾けて転がしながら運ぶ
さらに安全のため長袖の作業服や皮手袋を着用しなければならず、装備自体が熱をこもらせます。加えて、LPガス施設は防爆エリアに指定されているため、一般的な扇風機やスポットクーラー、空調服は使えません。
深刻な熱中症被害こそありませんでしたが、作業員が体力を消耗して途中で休憩を取らざるを得ない場面は日常的に見られました。作業効率と安全を両立させるには、暑さに対応できる有効な対策が急務となっていました。
いけうちからのご提案
当社は屋外用ミスト冷房システム「涼霧システム」を提案しました。
独自開発の専用ノズルが微細な霧を噴霧し、その蒸発時の気化熱で周囲の温度を下げます。霧の粒子が非常に細かいため濡れることなく、快適な涼感を得られるのが特長です。
今回は約2,000㎡の作業エリアをカバーするため、ノズルを合計400個配置。スプレーヘッダーに50センチ間隔で取り付け、高さ3メートルから直下に噴霧することで、エリア全体に均一にミストが行き渡るよう設計しました。
導入効果
導入後は「バテて倒れそうだ」といった声や「暑いから何とかしてほしい」という訴えが現場から聞かれなくなりました。体感温度が明らかに改善され、実際に温度計で確認しても導入前より3~4℃低下していました。
ミストで作業エリアの気温が3~4℃低下
効果は作業員の負担軽減だけではありません。「高圧ガス保安法」では容器の保管温度を40℃以下に保つことが定められています。以前は真夏に気温が40℃を超えると水道水をかけて温度を下げるといった対応が必要でしたが、現在はミストの噴霧エリアに充てん容器があるため、保管温度の維持にも貢献しています。
ミストが充てん容器の保管温度を40℃以下に維持
お客様の声:今できることをすべて
今回のミスト冷房導入にあわせ、少しでも快適な作業環境を実現しようと、今できることをすべて取り入れる覚悟で対策に取り組みました。
まず、ミストをより効果的に拡散させるため防爆仕様の扇風機を導入。さらに、防爆エリア対応の空調服が新たに発売されたことを機に、全員に支給しました。
ミストをより拡散させるために防爆仕様の扇風機を導入
ミスト冷房、防爆扇風機、空調服が揃い、ようやく納得できる環境が整ったと感じています。ただ、LPガス充填所は全国どこも同じ課題を抱えています。だからこそ、今回のミスト冷房のような暑熱対策が業界全体に広がり、過酷な現場で働く人たちの力になってほしいと願っています。
タンクローリーの受入・払出を行うローリー棟にも設置