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[レポート]水噴霧式の排ガス冷却塔の最適設計

水噴霧式の排ガス冷却塔の最適設計

株式会社いけうち 冷却事業部 部長 中井志郎
Shiro Nakai E-mail: s-nakai@kirinoikeuchi.co.jp

工業加熱48号(出版年月日: 2011/07, 出版社:日本工業炉協会)掲載

1.背景

廃棄物の焼却炉、溶融炉の排ガスや鉄鋼の各工程から発生する排ガスなど、一般に数百度以上の高温の排ガスを後段の集塵装置の耐熱温度である250~300℃まで冷却するニーズは従前からあった。近年では、そのニーズはさらに進んでいる。ガス冷却塔の後段に設置する集塵装置の高性能化のために、電気集塵機よりもバグフィルターが設置されるケースが多くなった。バグフィルターに変更することで、集塵効率および塩化水素、硫化水素などの酸性ガス、ダイオキシン類の除去効率が向上するが、これらの性能を発揮するためにはバグフィルター入口の排ガスを以前よりも低温度である200℃程度以下まで冷却することが求められている。

排ガスの冷却手法としては、熱交換式、気液接触式の二法が一般的である。熱交換式は廃熱ボイラーが広く知られており、熱回収により熱利用や発電などを行うことが出来る。気液接触方式は充填塔式と水噴霧式に分かれるが、ここでは水噴霧式について説明する。

水噴霧による排ガス冷却は、湿式法、乾式法に大きく二分される。湿式法はスクラバーなどと呼ばれ、洗浄液を噴霧し完全蒸発させずに溜水槽に有害物質などを吸収させるものである。一方、乾式法は排ガス中で完全蒸発させため、渡連を発生させないため、排水処理の必要が無い。目的により使い分けるが、乾式法は噴霧水量も湿式法よりも少なくなるなどの利点がある。しかしながら、200℃程度以下の低温度域までノンドレンで冷却するためには、塔のコンパクト化や水粒子の完全蒸発、ダストの堆積・付着、壁面腐食などに課題が残されていた。ノズルの開発・計測および風洞実験およびシミュレーションを中心とした流れの最適化を行う手法を開発したので、得られた知見について報告する。

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