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[事例]ガスタービン吸気冷却システム(フォグ方式)|高温環境での出力低下を防ぎ、電力の安定供給を実現
			
		
夏場に高温になるブロワーエアーを、微細な霧で直接冷却するというシンプルかつ効果的なソリューションだったこと。

製紙工場の抄紙機
製紙工場では、製造工程において大量の水が使用されます。その過程で発生する排水には、原料となるパルプに由来する有機物や繊維片、さらには薬品成分など、環境負荷の高い物質が含まれています。これらを処理せずに排出すれば水質汚濁などの環境問題につながるため、工場には排水処理設備の設置が欠かせません。
排水処理は、物理的な除去、化学的な中和・沈殿、そして微生物による分解など、いくつかの工程で構成されています。なかでも、生物処理の中心となるのが曝気槽です。曝気槽では、微生物が空気中の酸素を取り込みながら排水中の有機物を分解し、きれいな水へと処理していきます。

曝気槽:微生物の働きで有機物を分解・浄化
このプロセスで重要なのが、微生物に安定して空気を供給すること、そして微生物が活発に働けるよう適切な水温を保つことです。
ある製紙工場では、排水処理プロセスに欠かせない曝気槽の安定稼働に課題を抱えていました。
夏場になると外気温の上昇に伴い、曝気槽へ送られるブロワーエアーの温度が70℃近くまで上昇し、それにより槽内の水温も上がってしまいます。その結果、微生物の働きが鈍くなり、排水処理の効率低下を招いていたのです。

曝気槽に空気を供給するためのエアブロワー
ブロワー室の換気強化やファンによる吸気冷却など、さまざまな対策が試みられましたが目立った効果は得られませんでした。インタークーラーの設置も検討されましたが、初期費用やランニングコストが高く投資回収の見込みが立たないとして見送られました。有効な手立ても見つからず、ご担当者は途方に暮れておられたそうです。
そうした中で、「何とかブロワーエアーそのものを冷却する方法はないか」と、当社にご相談をいただきました。
当社から、微細な霧を発生させる2流体ノズル「BIMJ」を使って給気ダクト内に水を噴霧し、その気化熱によりブロワーエアーを直接冷却する方法をご提案しました。
ノズルは、ダクトへの挿入に適したランスタイプとして設計・納入。これにより、シンプルな構成でありながら、ブロワーエアーを効果的に冷却できる仕組みが構築されました。


70℃にまで達していたブロワーエアーは、最大で35℃まで低下。微生物の活性に適した温度帯とされる20〜35℃の範囲内に収まり、まさに理想的な環境が実現しました。
担当エンジニアは、噴霧ポイントからのダクト直胴長さを現場調査により把握しており、水分が残らず気化するような位置へのノズル設置をお勧めしました。その結果、噴霧された水はほぼ完全に蒸発し、ドレンの発生もほとんど見られていません。
霧のいけうちのスプレーノズルは今日も、曝気槽の適切な水温と微生物が働きやすい環境を維持し、排水処理設備の安定稼働に貢献し続けています。