1. 食品工場用スプレーノズル｜どの工程でどう使えばいいの？

食品製造工程の自動化やコストダウン、生産性や品質の向上を実現できるスプレーノズル、洗浄や塗布、調湿、除菌、加湿、エアーブローなど、その用途事例を10例厳選しシリーズでご紹介しています。

前回はパン工場での油やシロップの塗布、除菌の事例について解説しました。今回は洋菓子製造工場での塗布と調湿、除菌用途を取り上げます。

2. 洋菓子製造｜コンベアへの油塗布

お困りごと
ある洋菓子製造工場では、クッキー焼成前のコンベアへの油塗布で困っておられました。
今使っているノズルは塗布量が多く、焼成の間に生地が広がり過ぎて焼き色がきれいにつかなくなる、油煙が発生して周辺を油で汚すうえに、気分が悪くなる作業者が出るといった問題が発生していました。

ご提案
そこでごく少量の噴霧ができる小型2流体ノズルを設計し製品化しました。
液圧を0.1 MPa、エアー圧を0.3 MPaに設定した際、噴霧量が毎分0.25リットルになるよう設計。

成果
目視では分からず、コンベア表面を触ってはじめて油が薄く均一に塗布されていることが確認できるレベルまで、塗布量を大幅に減らすことができました。おかげで油煙は発生しなくなり、作業環境が改善されるとともに油の使用量も大きく削減できました。

本製品に使用したノズル
小型2流体扇形ノズル｜CBIMV80005

3. 洋菓子製造｜シュークリーム生地の調湿

お困りごと
ある洋菓子製造工場では、焼き上がったシュークリーム生地の割れを減らすため、生地がトンネルオーブンに入る前に調湿する方法を検討されていました。
割れの原因は焼成中の乾燥のため、生地の含水量を上げればよいのですが、それでは焼き上がり後の食感が悪くなる…
コンベアライン上でうまく微妙な水分調整を行える方法はないか、との相談をいただきました。

ご提案
そこでごく少量の水を、細かい霧にして吹きつけることができる2流体ノズルを選定しました。生地を湿らせるけれど濡らすことはないという、ちょうどよい粒子の大きさで霧を発生させることができるノズルです。

ラインの幅にあわせたヘッダーに取り付けし、センサー感知による噴霧のオンオフ制御と連動させることで、自動で無駄なく水を噴霧できるスプレーユニットに仕上がりました。

成果
その結果、なんと不良率を80%低減することに成功し、商品の無駄をなくすことができたお客さまに喜んでいただけました。

本製品に使用したノズル
2流体充円錐ノズル（少量噴霧用）｜BIMJ

4. 洋菓子製造｜コンベアのアルコール除菌

お困りごと
ある洋菓子製造工場では、シュークリーム製造ラインのコンベアを手作業でアルコール除菌していました。しかしオペレーターごとに塗布量にムラがあることと、食品衛生基準に定められている量を塗布できているのかどうか厳密に数値で捉えられていない、などの課題があり、よりしっかりした管理対策を検討しておられました。

ご提案
要件は回転するコンベアの下側で基準量のアルコールを噴霧して除菌し、この面が上側に戻り製品が乗ってくるまでにアルコールが乾くこと。これは製品にアルコールを付着させないためで、また使用できるエアー量は限られていました。

そこでアルコール基準量と除菌対象面積から必要な噴霧量を計算し、制約のあるエアー量でもその量をスプレーできる2流体ノズルを選定、ヘッダーに取り付けしユニットとして構築しました。

成果
ムラなく薄く塗布できるためアルコールはすぐに乾き、コンベアを濡らしたり製品に付着したりすることはありませんでした。ノズルから噴霧される１回あたりアルコール量は毎回定量のため、人手で行っていたときのようなムラはなくなり、また数値的に食品衛生基準値をクリアしていることが証明できるようになりました。

本製品に使用したノズル
小型2流体扇形ノズル（低圧噴霧用）｜CBIMV

5. まとめ｜食品工場用スプレーノズル｜用途事例10選①

洗浄や塗布、調湿、除菌、加湿にエアーブローなど、食品製造工場で使われるスプレーノズルの用途は多岐にわたりイメージしづらい、そんなお声にお応えするため、食品工場向けの実績の中から事例を厳選し「スプレーノズル用途事例10選」としてご紹介しています。

本初回記事ではパン工場での事例3件を取り上げ、今回は洋菓子製造工場での事例3件を取り上げました。
次回は餃子の皮の調湿, 熟成庫内の加湿, ビン搬送コンベアへの潤滑液噴霧, ペットボトル搬送工程での加湿を解説します。ご期待ください。