[事例]石炭貯蔵所での粉塵対策|微細な霧を使った浮遊粉塵の沈降・飛散抑制で環境改善に貢献
[事例]製鉄所・高炉出銑口の粉塵対策|高流速・大噴量ミストで粉塵を封じ込め、飛散を抑制



製鉄所での粉塵対策
製鉄所には粉塵が発生しやすい工程が数多くあり、なかでも原料ヤード、コークス炉、高炉の出銑口周辺は、特に飛散リスクが高いとされています。
こうした場所で舞い上がった粉塵が空中を漂い敷地外にまで広がることで、近隣住民から苦情が寄せられるほか、工場内の労働環境の悪化といった深刻な問題につながります。
実際、対策が求められる事例も後を絶ちません。
このうち屋外にある原料ヤードでは、散水や防塵ネットの設置によって飛散の抑制が図られ、コークス炉では集塵機が導入されるなど、それぞれの工程に応じた対策が講じられてきました。
出銑口周辺に残された課題
一方、高炉の出銑口周辺では、出銑時に発生する粉塵を完全には抑えきれず、労働環境の改善が依然として課題となっていました。
高炉の出銑口周辺
粉塵の主な発生源は、出銑口と主樋(溶銑が流れる樋)の2か所に分けられます。
出銑口では、空気に触れた溶銑から粉塵が発生します。これに対しては、出銑状況を確認するための覗き窓の上部に設けられた集塵フードで、粉塵を捕集する仕組みが設けられています。
その後、溶銑は主樋を通って次工程へと流れていきます。主樋には長さ約8mのカバーが設置されており、溶銑のスプラッシュ防止とともに、粉塵の飛散抑制も担っています。
ところが、出銑口を開ける作業では、出銑口開孔機と干渉するため、主樋カバーを一時的に移動させなければなりません。
出銑口開孔機と干渉するため、作業時は主樋カバーを一時的に移動させる
出銑口を開孔機で開ける作業
開口と同時に激しく粉塵が舞う
この3〜4分間、主樋はむき出しの状態となり、発生した粉塵が高温の上昇気流に乗って建屋内に拡散してしまいます。
上昇気流に乗った粉塵が建屋内へと広がっていく
いけうちからのご提案
この課題に対して、いけうちがご提案したのは、大噴量・高流速の霧を噴射して粉塵の舞い上がりや飛散を抑え込む粉塵対策システムです。
出銑口の斜め上に複数のノズルを設置し、出銑口周辺に向けて噴霧することで、発生した粉塵を霧で封じ込み、上昇気流に乗って建屋内に拡散するのを防ぎます。
使用する霧は粒子径が細かく、周囲の床面や設備を濡らす心配もありません。
上昇気流に乗った粉塵が建屋内へと広がっていく
また、本システムは大がかりな設備工事を必要とせず、水とコンプレッサーエアーを供給していただくだけで、すぐに運用を開始できます。
導入効果
高流速・大噴量の霧が高温の上昇気流に押し戻されることなく発塵箇所を確実に覆い、粉塵の拡散を大幅に抑制。高炉出銑口周辺の労働環境が改善され、現場の安全性も向上しました。
いけうちの霧は今日も、安全・安心な労働環境の維持と粉塵による環境汚染の抑制に貢献し続けています。