[事例]車両部品塗装ライン乾燥炉後の冷却時間をミスト冷却で大幅短縮|生産性の大幅向上
[事例]微細ミストでデータセンター室外機を冷却|ショートサーキット防止で夏場の安定稼働を実現


この事例で使われている
ソリューション・製品
導入の決め手
- 既存の空調設備を改修することなく、後付けで室外機を効率的に冷却できるシステムであったこと。

お客様の課題
あるデータセンター様では、屋上に200台以上の外調機を設置し、サーバールームを含む屋内の空調管理を行っていました。
しかし、近年の夏場の気温上昇に伴い、設計上で期待する冷却能力が発揮できないケースや、設計時に想定している外気温を上回る猛暑日には、密接して設置された室外機がショートサーキット※1やサーマルトリップ※2、高圧カット※3を引き起こす問題が発生していました。
※1 ショートサーキット:
室外機から排熱された空気が再び吸気口に取り込まれる現象を指します。これにより、冷却効率が低下し、過熱や機器の負荷増大を引き起こします。
※2 サーマルトリップ:
室外機周辺の熱が過度に高くなると、モーターやコンプレッサーが過熱し、保護機能であるサーマルリレーが作動して運転が停止する現象。
※3 高圧カット:
ショートサーキットや高温によって機器内部の冷媒を冷やしきることができず、圧力が上昇し限界になった時点で強制的に運転停止する現象。
室外機の熱交換効率が低下すると、サーバールームの室温が設定温度を上回り、サーバーに過剰な負荷がかかることで処理速度に影響が生じてしまいます。
このため、ショートサーキットやサーマルトリップが起きる緊急事態発生時には、データセンターのスタッフがすべての室外機にホースで水を撒いて冷却するなどの対応を余儀なくされ、厳格な温湿度管理が求められるサーバールームの円滑な運営が困難になりつつありました。
さらに、データセンターを利用するユーザーから強い改善要求が寄せられるようになり、補償問題に発展する懸念も出てきていました。
現在稼働中のデータセンターでは、空調設備を大幅に改修することが難しい状況にあり、後付けで設置可能な有効な冷却システムを模索され、当社にご相談いただきました。
いけうちからのご提案
ビル用マルチエアコン向け「室外機冷却システム」提案しました。
このシステムは、室外機の吸気口に取り付けた複数の専用スプレーノズルから微細なミストを噴射し、その気化熱を利用して吸気を冷却する仕組みです。1ユニットで室外機1台をカバーできるため、任意の位置や台数に柔軟に設置可能です。
各ユニットには温度センサー付きの小型制御盤が搭載されており、外気温が設定値を上回ると自動的にスプレーを開始します。これにより、手動で散水する必要がなくなり、室外機の自動冷却を実現します。
さらに、スプレー粒子が非常に微細なため、従来の散水用ノズルに比べて水の使用量を抑えつつ、効率的な冷却を可能にします。ドレンの排出量も最小限に抑えられるため、周囲がびしょ濡れになる心配もありません。
また、PUE(Power Usage Effectiveness)※の向上にも寄与し、データセンターの評価向上への貢献が期待されています。
※PUE:
施設全体のエネルギー消費に対するサーバー等の消費割合を示す指標で、電力使用効率を評価する数値。数値が低いほど電力使用効率が良いとされます。
導入効果
- 夏場における室外機のショートサーキットやサーマルトリップが防止され、安定稼働を実現。
- データセンターの冷房エネルギー負荷を低減。