[事例]焼き付け塗装後のアルミホイールをミスト冷却、冷却時間の劇的短縮と安全な作業環境を実現
[事例]焼き付け塗装後のアルミホイールをミスト冷却|タクトタイムを劇的に短縮し、作業環境も改善


この事例で使われている製品・ソリューション
導入の決め手
微細ミストを噴霧する2流体ノズルのデモにより、冷却効果の高さを実証できたこと。
お客様の課題
今回は、アルミホイール製造工場に導入されたミスト冷却システムの事例をご紹介します。
この工場では、焼き付け塗装を終え乾燥炉から出てきたアルミホイールを、コンベヤ上で自然放冷しながら搬送していました。
焼き付け塗装後に乾燥炉を出たホイールを、コンベヤ上で自然放冷させながら搬送
乾燥炉を出た直後のワーク温度は約110℃。これを次工程でオペレーターが手袋を着用して扱えるよう、70℃まで下げる必要がありました。しかし放熱により周囲の温度が50℃近くに達し、熱中症のリスクが極めて高くなっていました。加えて冷却時間を短縮しようと多数のファンを設置したものの効果は乏しく、しかも場所を取りすぎて作業性を損ねていたのです。
より短時間で目標温度まで冷却でき、しかも省スペースで設置可能なシステムを求めていたお客様。
そうした背景から、霧を活用したミスト冷却で豊富な実績を持つ当社へご相談いただきました。
左:アルミダイカスト部品のミスト冷却|右:ガスタービン吸気のミスト冷却
いけうちからのご提案
ご相談をいただいた当社は、水にコンプレッサーエアーを混合して微細な霧を生成・噴射できる2流体ノズル「BIM」を活用した冷却システムをご提案しました。アルミ部品をはじめとする固体の冷却に最適なスプレーノズルです。
左:2流体微霧ノズル「BIM」|右:BIM ノズルの噴霧パターン
現場で早速デモを実施しました。乾燥炉を出たホイールに約1分間ミストを噴霧したところ、表面温度は110℃から70℃まで低下。しかも水滴や液だまりはほとんど残らないことを実証できました。
ミスト冷却の有効性を確認できたので、BIMノズル5個を長さ1.4メートルの配管に搭載したスプレーヘッダーを設計。このヘッダーをコンベヤの左右上方に3本ずつ設置し、ライン上のワークに向けて斜め上から噴霧するレイアウトに仕上げました。
左:2流体微霧ノズル BIM|右:BIM ノズル5個搭載スプレーヘッダー
さらに制御方法にも工夫を加えました。液供給とエア供給を切るタイミングに時間差を設け、液供給を先に止めることで液だれを最小限に抑制。加えて、またヘッダーを隣接させずあえて噴霧を行わない箇所を設け、ワーク表面の復熱を利用することで、全体をより均一に冷却できるようにしました。
導入効果
お客様のご要望どおり、省スペースでありながら高効率な冷却ゾーンを実現。冷却時間を短縮したことでタクトタイムも劇的に改善されました。さらに作業環境の温度上昇を抑えることで、熱中症のリスクも大きく軽減。
生産現場に新たな価値をもたらす革新的な冷却ソリューションです。
BIMノズル噴霧の様子