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[空気調和②]工場の温度・湿度管理|法律や目安、おすすめの方法

工場では製品や機器の品質管理や従業員の健康や安全の確保などを目的に、徹底した温湿度管理が行われています。ただし工場で取り扱う製品や機器のある環境などに応じて適切となる温湿度は異なり、精密な温湿度管理が必要です。

今回の記事では工場で管理する湿度の概要とともに、工場で温湿度管理を行う重要性、産業や製品別の適切な温湿度の目安、工場での温湿度の管理のポイントについて解説します。

もし、工場等への業務用加湿器の導入についてご検討中であれば、株式会社いけうちにご相談ください。

工場の湿度管理
ドライフォグ加湿システムAirAKI(エアラキ)は2流体加湿器を用いて、ものに触れても濡れない霧(ドライフォグ)を省エネルギーで噴霧することができる業務用加湿器です。
より省エネ性能が高い、1流体加湿システムAirULM(エアウルム)は、比較的天井高さがある現場にお勧めです。
また、AE-Tセットは配管工事不要でドライフォグを導入することができ、コンプレッサーエアーを供給するだけで加湿したい場所を自由に選ぶことができます。

1.工場で管理すべき湿度とは

工場で管理すべき湿度とは

ここでは工場で管理すべき湿度の概要について解説します。

(1)湿度とは

空気は水蒸気が混合した「湿り空気」と、水蒸気が含まれない「乾き空気」の2種類に分けられます。地球上の空気は湿り空気に当たり、乾き空気は理論上の空気に該当します。

湿度とは、この2種類の空気のうち、湿り空気にどれだけ水蒸気が含まれているかを表しています。最大の湿度(水蒸気量)を含み飽和状態となった湿り空気は、「飽和空気」と呼ばれています。

(2)相対湿度と絶対湿度とは

湿度には「相対湿度」と「絶対湿度」があります。

相対湿度とは「ある空気の水蒸気分圧」と、「その空気における飽和空気の水蒸気分圧」を比べたもので、単位「%」(または「%RH」)で表します。単に湿度と表現したときには、相対湿度のことを指します。

絶対湿度とは、空気に含まれている水蒸気の質量です。乾き空気1kgに対する水蒸気の量で、単位「kg/kg」で表わされます。なお空気を冷やしたり温めたりしても、一定の空気量における絶対湿度の質量は変わりません。つまり空気の温度が上がっても下がっても絶対湿度は変わらないことになります。

飽和状態になるには、空気が収縮した場合には少ない水蒸気量で、逆に空気が膨張した場合は、その分だけ飽和状態にするための水蒸気量が必要です。

(3)除湿と加湿とは

空気中に含まれる水蒸気の量=湿度」のため、空気中の水蒸気の量を増やしたり減らしたりすることで、湿度の調整が可能です。水蒸気の量を増やす操作が「加湿」、減らす操作が「除湿」です。

温度と湿度は反比例します。空気中の水蒸気量が一定である場合、空気の温度が上がれば相対湿度は低下します。逆に温度が下がれば相対湿度は上昇します。

2.工場の湿度管理の重要性

工場の湿度管理の重要性

工場では、温度とともに目的と条件に合わせて加湿や除湿の操作を行う、湿度管理が重要視されています。温湿度を一定の範囲に収める、工場の温湿度管理の重要性について解説します。

(1)労働安全衛生規則での義務化

労働者が健康や安全を害されることなく、衛生に配慮した環境で安心して働けるために厚生労働省が定めた法令が「労働安全衛生規則」です。労働安全衛生規則の第606条と第607条では、屋内作業場での適当な温湿度の調節と、半年以内に1回の定期的な温湿度の測定を事業者へ義務付けています。

参考:労働安全衛生規則

(2)製品の品質保持

製品の品質保持のためにも温湿度を適切に調整する必要があります。温湿度は製品の規格外や不良品率などに大きく影響するためです。個々の製品、場所によって適切な温湿度は異なります。温湿度は工場内で一律ではなく、工場の区域やエリアによって厳密に管理する必要もあります。

工場の加湿による品質保持については以下の動画も参考になります。

【工場の静電気対策】基板実装工程の加湿事例|エアコンの省エネや浮遊ごみ対策にも【ゴミブツ対策】

(3)従業員の健康保護

高温、高湿度の環境下では従業員が熱中症を発症する危険性があります。前述の労働安全衛生規則で義務化されている通り、温湿度の適切な管理は従業員の健康を守る上でも必要です。

熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標に、暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)があります。WBGTは、以下の計算方法で算出可能です。

屋外:WBGT = 0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
屋内:WBGT = 0.7×湿球温度+0.3×黒球温度

WBGTと熱中症の関係を表す指標に「日常生活に関する指針」「運動に関する指針」があります。例として、日常生活に関する指針は以下の通りです。

WBGTと熱中症の関係

WBGTによる熱中症の危険度を把握するうえでも、温湿度管理は必須と言えるでしょう。

引用:環境省 熱中症予防情報サイト

(4)機器の故障や事故防止

工場に設置された機器は、設置場所や稼動状況により高温に達することがあります。機器が高温状態になることで故障や誤作動が起きて稼動率が下がる、故障や発火による火災や事故が起きるといったリスクがあります。

温度だけでなく、湿度も機器のトラブルの発生原因となります。たとえば湿気から結露が発生すると機器周辺にカビやほこり、サビなどが発生する原因にもなるでしょう。逆に湿度が低くなると静電気が発生しやすくなり、電子機器や精密機器の回路が破損する可能性もあります。

機器の品質を保つうえでも、適切な温湿度管理が求められます。製品の品質保持を目的とする場合と同じく、機器の設置場所や使用環境下などの条件ごとに厳密な温湿度管理が必要です。

工場の加湿による静電気対策についてはこちらの動画も参考になります。

【工場の静電気対策】加湿?それともイオナイザ?|湿度管理と除電器の関係【ゴミブツ対策】

.工場における温湿度管理のポイント

工場における温湿度管理のポイント

工場における温湿度管理のポイントを解説します。

(1)室内の快適条件に合わせる

まずは室内の快適条件を踏まえて、温湿度の調整を行いましょう。保健空調における温湿度の目安は以下の通りです。

保健空調における温湿度の目安

年齢や性別、季節によって人が快適に感じる温湿度は異なりますが、以下の室内の快適条件をひとつの指標にして温湿度を管理すると良いでしょう。

(2)建築物衛生法の基準に合わせる

厚生労働省では、建築物の衛生環境の向上と、環境衛生上良好な状態の維持・管理を目的とした「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(建築物衛生法)」を定めています。

建築物衛生法では空気中の炭酸ガスやホルムアルデヒドの含有量などのほかに、温湿度に関する規定もあります。建築物衛生法の規定に合わせて温湿度の調整を行いましょう。

建築物衛生法によると、温度は18℃以上28℃以下、および居室の温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと、相対湿度は40%以上70%以下を基準として定めています。

参考:建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則

(3)産業、対象別の空調温湿度条件に合わせる

産業および工場で取り扱う製品、環境下により適切となる空調温湿度条件が異なります。以下の代表的な産業、対象別の空調温湿度条件を目安に温湿度を調整しましょう。

引用:https://www.wetmaster.co.jp/about/knowledge/air_conditioning/indication/

4.工場の温湿度管理とクリーンな環境を両立させる方法

工場の温湿度管理とクリーンな環境を両立させる方法

繊維工場やクリーンルームなど、空気中のホコリや浮遊微生物の発生を防ぐ必要がある環境下では、外気を遮断する必要があります。外気を遮断しつつ適切な温湿度管理を行うためには、クリーンルーム用のエアコンや特殊な加湿器を設置する方法が有効です。

霧のいけうちでは、製品や機器の品質管理と静電気トラブルの防止、湿度の最適化を実現できるソリューションとして「産業空調加湿システムAirAKI(エアラキ)」をご提供しています。AirAKIは、ものに触れても濡れない霧(ドライフォグ)を利用した加湿システムです。現場を濡らすことなく、最適な湿度調整と静電気対策が可能となります。

ドライフォグについては以下の導入事例を参考にしてください。

【静電気の発生を約70%抑制!】冬物の生地を扱う際のお悩み解消|ドライフォグ加湿システム 納入事例インタビュー【有木株式会社様】

きわめて少ない電力で大量の平均粒子径7.5μmのドライフォグを噴霧でき、CO2排出量を約80%削減しました。またAirAKIと加湿ユニットとして「ドライフォグ加湿器AKIMist-E(アキミスト)」「AKIMist-C」などを使用することで、現場に合わせて最適な加湿器選定やレイアウト設計が可能です。

空調加湿の専門技術者が現地調査や設計を行ったうえで、現場湿度を最適化します。ぜひお気軽にお問合せ・ご相談ください。

まとめ

工場で管理する湿度の概要とともに、工場で温湿度を管理する重要性、管理のポイントを解説しました。

工場の温湿度管理は法令で義務付けられているだけでなく、従業員の健康管理や製品や機器の品質保持といった面でも必須です。自社の製品や機器、工場の環境に応じて適切な湿度管理をすることで、生産性の向上や品質の担保といったメリットも得られます。

湿度管理と製品製造環境との両立が難しい場合などは、特殊な加湿器の導入を検討することも重要です。

もし、工場等への業務用加湿器の導入についてご検討中であれば、株式会社いけうちにご相談ください。

工場の湿度管理

ドライフォグ加湿システムAirAKI(エアラキ)は2流体加湿器を用いて、ものに触れても濡れない霧(ドライフォグ)を省エネルギーで噴霧することができる業務用加湿器です。
より省エネ性能が高い、1流体加湿システムAirULM(エアウルム)は、比較的天井高さがある現場にお勧めです。
また、AE-Tセットは配管工事不要でドライフォグを導入することができ、コンプレッサーエアーを供給するだけで加湿したい場所を自由に選ぶことができます。

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