技術情報

[インタビュー]いわき花匠(トルコギキョウ)|時間単位の繊細な温湿度管理で花の品質を向上、周年出荷を実現

ユーザー紹介

福島県いわき市で、トルコギキョウの先端技術展開事業(農林水産省・復興庁)に取り組まれている生産者様です。水耕栽培と統合環境制御によるトルコギキョウの年3作周年生産技術体系を確立し、1年を通して高品質な花の安定供給を実現されています。

導入事例インタビュー|社長 猪狩 広生様
「繊細な湿度管理と日平均気温管理で、1年を通じて花の品質精度が大きく向上。時間単位で思い切った温湿度の管理ができるのが魅力です。」

この事例で使われている
ソリューション・製品

先端プロジェクトで導入

震災後の福島県の花卉産業を振興するため、2014年に農林水産省と復興庁が実施する先端技術展開事業に参加しました。

福島県から高品質なトルコギキョウの周年出荷を実現するため、水耕栽培や育苗システムなど、トルコギキョウでは実用例のない先端的な技術の活用に取り組んでいます。現在では、3棟の各ハウスで年3作栽培を行い、1年を通じて大輪のトルコギキョウを出荷しています。

温室の環境づくりにも、統合環境制御を用いて最適な環境づくりに取り組んでいます。ハウス建設当初には、3棟のハウスのうち1棟にパットアンドファン、1棟にCoolPesconCH(以下CPCH)を導入して、それぞれの特徴を観察しながら温湿度づくりに取り組んできました。

細やかな管理で若苗を守る

パットアンドファンにも良い点はありましたが、ファンの消費電力が大きい事と、濡れたパットを乾燥させるためにファン稼働させる時間帯に湿度が上がりすぎる事がネックとなり、稼働させるべきかを迷う事が多くありました。

その点、CPCHは稼働時間と湿度がしっかり連動する事や、電気代が少ない事もあり、細かなON/OFFで温湿度を作りこむ事ができる、という点で使い勝手がとても良いです。トルコギキョウの水耕栽培では、定植直後から約2週目までの湿度管理が特に重要になります。冬の晴れた日には、相対湿度があっという間に20%を下回り、定植後の若苗にとって厳しい環境になる事があります。

しかしパットアンドファンだと冬場には温度も下がってしまうため動かすことができません。なんとか湿度を確保するため動力噴霧器で水を撒いたりもしましたが、とても追いつきませんでした。苗半作という言葉がありますが、定植直後の若苗の湿度管理は、高品質・安定出荷を実現していく上で、最も重要な環境管理のひとつと考えています。

CPCHは、季節に関係なく、動かしたいときに、狙った湿度環境を作れることが良さの一つだと思います。

日平均気温の管理で大輪を

トルコギキョウは、花弁数が多い大輪の花ほど高値で取引されます。このトルコギキョウの花弁数は、花蕾成長後の温室温度と大きく関係します。 グラフ(図1)のとおり、花蕾が成長し始めてからの1か月間の日平均気温が重要で、日平均気温が高くなるほど花弁数が減少してしまいます。そのため大輪のトルコギキョウを作るには、日平均気温が23度を下回るように、日々温度を管理する必要があります。


一部改変の上転載) 農研機構(2018)“八重咲きトルコギキョウの花き数を増加させる温度制御技術”, 野菜花き研究部門2018年成果報告

6月頃から日中温度が30度近くになるので、夜温を見ながら日々目標温度を設定して管理する必要があります。盛夏期に入ると温度管理は更に難しくなります。基本的には午前中に光をしっかり確保し、午後は遮光して温度を抑える事を優先するといった管理を行います。午前中に温度を抑えられれば、より長く遮光カーテンを開けて光合成量を確保できます。

外気が35度近い時には、換気だけだと室内温度が40度を超えますが、CPCHを動かせばほぼ外気温プラス1.2度程度の範囲に室内温度を抑えられています。

3棟全てのハウスにCPCHを導入

2019年に台風被害に見舞われ、施設の更新入替をやむなくされる事態になりました。その際に、ハウス3棟の残り2棟とも思い切ってCPCHを導入しました。今では3棟全ての環境づくりに、CPCHが活躍してくれています。私たちは、これまでにない新しい栽培体系の確立に挑戦を続けています。そのために必要な積極的な環境づくりを、CPCHは支えてくれています。

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