
[事例]廃棄物処理施設の防火対策|保護キャップ付きスプレーノズルで散水消火設備の保全を強化
ここ数年、廃棄物処理施設でのリチウムイオン電池の発火事案が増加し、早急な対応が求められています。
特に、処理工程での強い衝撃や圧力による破損が原因で発火するケースが多く、施設運営者にとって防止策の導入は喫緊の課題となっています。
こうした状況の中、施設から委託を受けたあるプラントエンジニアリング会社様では、スプレーノズルを活用した散水消火設備の設計を急いでおられました。

しかし、課題となったのは平常時のスプレーノズルの保全方法です。
廃棄物処理の現場では、粉塵やほこりの発生は避けられず、それらがノズルに付着・堆積することで目詰まりを引き起こす可能性があります。
万が一、緊急時にノズルが正常に作動しなければ、消火設備としての役割を果たせず、火災リスクを高めることになりかねません。
こうした背景から、有効な予防保全策を模索する中で、産業用スプレーノズルの専門メーカーである当社に相談が寄せられました。
当社は、スプレーノズルに特殊保護キャップを取り付けた状態で納入することを提案しました。

このキャップは、適度な装着感があり、手で触れただけでは外れませんが、0.02 MPa程度の水圧がかかると簡単に外れるように設計されています。
ノズルの標準噴霧圧力は0.3 MPaのため、噴霧が開始される時点でキャップはすでに外れており、散水を妨げることはありません。
以下の写真は、キャップが脱落する前の状態と、水圧0.02 MPa程度で脱落した直後の様子を示しています。

また、キャップはシリコン製で200℃程度の耐熱性があり、暑熱環境下でも使用可能です。これにより、設備の高温部分や温度変化の激しい環境でも、変形したり劣化したりすることなく機能を維持します。
さらに、ノズル配管側に取り付けるリングとキャップをワイヤーで接続する工夫も施しました。
これにより、キャップは外れた後もノズルの根元にぶら下がった状態を維持し、散水テスト時などに脱落したキャップを床や設備周辺で探す手間を省くことができます。
今日も、緊急散水設備の予防保全に貢献しています。