
[事例]化学工場貯水槽のユスリカ対策|薬剤不使用の水面撹拌ノズルで環境負荷も低減
この事例で使われている
ソリューション・製品
工場施設や商業施設、農業分野など、様々な用途で利用される貯留水(例:処理水、工業用水、農業用水など)では、その水質管理が安定した運用や衛生的な環境を維持する上で非常に重要です。
しかし、これらの水を貯留する過程で、貯水槽内や配管系統で昆虫の卵や微細な貝類、その他の浮遊異物が発生・混入することがあります。これらが適切な処理をされずに水の使用先へ流出すると、製品品質への悪影響、冷却水ラインやノズルの詰まり、あるいは不快な害虫の発生による衛生問題や利用者・管理者からのクレームに繋がるという課題がありました。

既存のろ過設備だけではこれらの微細な異物を完全に除去しきれず、また従来のバスケットストレーナーなどでは頻繁な手作業による清掃やメディア交換が必要となり、維持管理の負担が大きいことも問題視されていました。根本的な異物・害虫対策と、メンテナンス負荷の少ない安定したろ過システムの構築が求められていました。
このような微細異物やバイオフィルムなどの除去とメンテナンス負荷軽減の課題に対し、当社は自動逆洗機能付きろ過装置「オートストレーナー ARS(アースフィルター)」の導入をご提案しました。

ARSフィルターは、お客様の除去対象異物(今回はユスリカの卵約70μmと他の微細固形物)に合わせて最適なスクリーンメッシュ(45μmの金網スクリーンを利用、事前に類似異物を用いたテストを行い、効果検証済みのものを選定)を搭載。各種用水を精密にろ過し、ユスリカの卵などの微細な異物を確実に捕捉します。特に、貯留水の状況によってはフィルター内部にバイオフィルムが生成される懸念があったため、今回はフィルターの内外面双方から効率的に洗浄できる特別仕様をご提案しました。
スクリーンに捕捉された異物が堆積し、差圧が設定値に達すると、システムは自動的に逆洗工程を開始。 スクリーン内側に配置された当社独自の高効率スプレーノズルがジェット水流を噴射し、スクリーン表面に付着した異物を非接触で強力に剥離・除去します。 除去された異物はドレン口から自動排出され、洗浄後は直ちに通常のろ過運転に復帰します。
この一連のサイクルを全自動で行うため、常に安定したろ過性能を維持しつつ、人手による清掃作業を大幅に削減できます。ARSフィルターを既存の処理工程の最終段や、貯留槽から使用箇所への供給ライン途中に設置することで、特定の微細異物やバイオフィルムなどを効率的に除去し、その効果を最大限に発揮します。
ARSフィルターを導入した施設では、以下のような効果が確認されています。
※ 現場での運用経験から、ARSフィルターの性能を持続させるためには、想定外の大きな異物(例:大きな貝殻、流木片など)によるスクリーン網の破損を防ぐための適切な前段処理や、ARSを最終仕上げろ過、あるいはポイント・オブ・ユースに近い箇所での保安フィルターとして配置することが推奨されます。これにより、システム全体の長期安定稼働に貢献します。
この記事が、同様の課題をお持ちの施設ご担当者様の一助となれば幸いです。