技術情報

[インタビュー]有限会社うしの中山(黒毛和牛肥育)|“濡れない霧”の導入で夏の増体と健康管理を両立

ユーザー紹介

1950年創業のうしの中山様は、鹿児島県鹿屋市と志布志市で合計5,600頭以上の黒毛和牛を肥育する、国内トップクラスの大規模牧場です。「肝付から世界へ」を掲げ、全国和牛能力共進会で最優秀枝肉賞を受賞するなど、輝かしい実績を誇ります。「牛の能力を最大限に引き出す」という理念のもと、飼料設計や低ストレスな飼育環境の整備に注力されています。

インタビュー:有限会社うしの中山 中山 高司 代表

この事例で使われている
ソリューション・製品

4800頭規模の黒毛和牛肥育牧場で、
暑熱対策と牛の健康管理を両立!

鹿児島を代表する肥育牧場「うしの中山」

鹿児島県鹿屋市に拠点を構える「うしの中山」は、約4800頭の黒毛和牛を肥育する大規模牧場です。全国和牛能力共進会において最優秀枝肉賞をはじめとした数々の賞を受賞しており、全国でもトップクラスの評価を受ける畜産企業として知られています。

同社の理念は「牛の能力を最大限に引き出す」ことです。その実現のため長年にわたり牛の特性に合わせた飼料設計や、一頭一頭の個体に最適な管理手法を追求し続けてきました。特に飼料の質向上や低ストレスな飼育環境整備に注力しており、牛の健康状態と肉質の維持・向上を両立させるための取り組みを重ねています。

鹿児島特有の暑さがもたらす課題

毎年常に改善すべき課題としてあがるのが暑熱対策です。鹿児島という高温多湿な土地柄、気温や湿度が上がる夏場は牛の食欲や活動量が低下しやすく、増体や健康管理に悪影響を及ぼします。特に近年は猛暑日が増え、重要性は高まるばかりでした。

もちろんミスト冷房装置は以前から導入しており、2017年に移転した際も一緒に設置しました。しかし、装置から発生する霧の粒子サイズが大きく、牛の体や床などを濡らしていました。湿った床は牛の蹄や衛生状態に悪影響を及ぼし、水滴による不快感でストレスも感じてしまうため、使用感に納得いかないので折角の設備でしたがあまり利用することはなかったです。

CoolPescon導入のきっかけと決め手

ただし暑さ対策は待ったなし。何か良いものはないかと牛舎の設計事務所に相談したところ、紹介されたのが霧のいけうちの畜舎冷房システム「Cool Pescon(クールペスコン)」でした。

気化熱によって効率的に周囲の空気を冷却するというこのシステム、何よりの特長は細やかな霧が牛や床をほとんど濡らさずに空間だけを冷やしてくれる点にあります。実際に働くスタッフとデモ運転を見た際には、これなら牛たちも濡れずに快適に過ごせる」「床も乾いたままなので清掃もしやすいと直感的にその性能が理解でき、まさにこれだと全牛舎への導入を決断しました。

中山社長は毎朝牛に声をかけるのが日課。朝だけで3600頭ほどを見回りを1万3000歩も歩く ▲

全棟導入後に得られた明確な効果

そして2019年の夏前にCoolPesconを全43棟に導入しました。導入後は噴霧している畜舎内と屋外では明らかに空気の質が違い、もちろん濡れることもなく、スタッフ誰もがその効果を肌で感じました。

牛に対しても冷却効果はすぐに表れ、夏に呼吸が荒くなることが減り、体温上昇も抑えられるようになりました。以前は暑さで食欲が落ちていましたが導入後は安定して飼料を摂取できるようになり、体力が低下することがなくなり、体調不良発生の減少に直結しました。そして、年に何度か出ていた緊急出荷もゼロになりました。

さらに感覚値ではありますが、牛1頭あたり20~30kgの増体が見られるなど、生産性の向上にも寄与しています。飼料の配合を変えているなど複合的な要因もありそうですが、夏でも食欲が落ちずにしっかり食べて、ゆっくり眠れるようになったのが大きいです。

導入時の懸念だった費用対効果についても、体重増加や肉質の向上によって出荷時の評価が上がり、売上増に直接貢献してくれました。さらに導入以降、鹿児島県内のみならず九州、全国大会の枝肉共励会で優秀な成績を収めることができており、結果的には想定より早く約2年で導入コストを回収することができました。

加えて、ミストによる空間冷却は人間の作業環境にも好影響を与えています。真夏でも畜舎内は過ごしやすく、従業員の負担も軽減。職場の快適性が高まったことで、作業効率の向上や事故防止にもつながり、それが巡ってより一層牛の世話ができるという良いサイクルを生み出しています。

湿度維持や薬液噴霧にも活躍する霧

微細な霧は夏以外にも効果を発揮してくれます。うちでは購入した直後の仔牛や肥育牛に対して消毒液を噴霧しています。疾病や防虫が目的です。病気になる牛が減れば、治療費やスタッフの負担が軽減でき、この分も牛に還元できます。ノズルが詰まってもおかしくないと思っていたけれど、今のところ一度も詰まったりしていません。

また冬場に牛舎内が乾燥しすぎると餌の食いが落ちてきたり、呼吸器系によくないため、湿度を高めるためにも利用もしてやります。粉塵も抑えられるので作業者にも良い影響がありますね。一年通して使える機能と実力を備えた、頼れる存在だと思います。

ミストの噴霧位置は牛床の真上だが、敷料や牛体は濡れておらず牛たちは非常に快適そう▲

アニマルウェルフェアにも貢献

現場で働くスタッフからは「夏になると、私たちも畜舎から離れたくないほど快適なんです!牛たちも心地よさそうで、食後にゆったりと横になって過ごす様子をよく見かけます」といった声が聞かれます。牛にとっても人にとっても快適な環境が実現されており、アニマルウェルフェアの観点からも先進的な取り組みだと思います。

導入から4年が経過した現在も、ノズルの詰まりや装置の不具合は一切発生していません。安定した品質にも大変満足しています。当社のような肥育中心の経営だけでなく、繁殖農家にも良い効果があると思います。同業の仲間にも勧めていますよ。


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