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[空気調和①]保健空調と産業空調、工場の空気調和、加湿の必要性

現在、私生活や業務などの様々な場面において、快適な空間が求められています。また、モノの生産や管理においても最適な環境を保つことが、生産性や品質の向上につながります。そこで、用いられる概念が空気調和です。空気調和を行うと、ヒトやモノに優しい環境の実現につながると期待されます。
また、加湿器を用いて空気調和を行うと、多くのメリットを享受できます。

今回は、空気調和の概要から湿度コントロールの重要性までを解説します。

もし、工場等への業務用加湿器の導入についてご検討中であれば、株式会社いけうちにご相談ください。

空気調和1

ドライフォグ加湿システムAIrAKI(エアラキ)は、業務用2流体加湿器AKIMist-E(アキミスト)を用いて、ものに触れても濡れない霧(ドライフォグ)を省エネルギーで噴霧することができます。
より省エネ性能が高い1流体加湿システムAirULM(エアウルム)は、天井高さがある現場にお勧めです。
また、AE-Tセット配管工事不要でドライフォグを導入することができ、コンプレッサーエアーを供給するだけで加湿したい場所を自由に選ぶことが可能です。

1.空気調和とは
2.工場における空気調和
3.空気調和のシステム
4.加湿器を利用した空気調和の重要性
5.空気調和のことなら株式会社いけうちへ

1.空気調和とは

空気調和2

画像引用:株式会社いけうち

空気調和とは、より良い条件に保つように空気を整えることを指します。また、総合的に空気とヒトおよびモノを整え合わせるため、「調和」という言葉が使われている点も特徴です。
本項では、空気調和に必要な4要素やヒトとモノに対する空気調和の違いを解説します。

(1)空気調和の4要素

空気調和の4要素

空気調和は、以下の4つの要素からヒトやモノに適した環境に空気を整えます。

①温度の調整

ヒトやモノには、それぞれ快適に活動するために最適な温度が存在します。そのため、空気調和の概念では空間の温度の調整は重要な要素です。

②湿度の調整

湿度とは、空気中に含む水蒸気量の限界値(飽和水蒸気量)に対する実際に含まれる水蒸気量の割合です。湿度が100%を超えると、空気中の水蒸気が水として顕在化します。(結露)
ヒトやモノは極端な乾燥や湿気を苦手とする傾向が強く、適切な湿度コントロールが必要なため、空気調和の概念に湿度の要素が含まれています。

③気流の調整

気流の調整には、気流の速度・方向・分布・気圧を適切にコントロールすることが必要です。
空気は、”気圧が高く冷たい空気”から”気圧が低く温かい空気”へ流れる性質をもちます。そして圧力差が大きくなるほど速度が速くなります。そのため、気流の分布を把握すると、空間内の気圧や温度の把握ができます。
このように、速度・方向・分布・気圧を把握および調整することで、きめ細やかな空気調和につながるのです。

④清浄度の調整

清浄度の調整には、空間内の塵埃・細菌の除去やガス・臭気の希釈などが含まれます。これらは、ヒトやモノに害を与えないレベルにするケースやヒトが不快に感じないレベルにするケースなど空間を使用する目的に応じて変化します。

以上のように、空気調和は上記の4要素を適切に調整することで、ヒトやモノに優しい空間を作り出すことができます。

(2)保健空調と産業空調

空気調和は、ヒトに対する空気調和(保健空調)とモノに対する空気調和(産業空調)に分類されます。

①保健空調

保健空調とはその空間で過ごす人が快適かつ健康に過ごすことができる目安です。家や会社、ホテル、病院、学校など、人が暮らしたり生活する場が対象になります。建築物衛生法により基準が定められています。

空気調和 8

備考:ppmは100万分の1を表す単位(1ppm=0.0001%)

上記の基準では、中毒性のある一酸化炭素やシックハウス症候群の原因の1つであるホルムアルデヒドなどヒトを危険から守る要素が含まれていることがわかります。また、環境問題への配慮から温度や相対湿度にも基準を設けている点も特徴です。

②産業空調

産業空調は、モノ(生産物)の品質維持・管理を目的に、工場等の施設ごとに管理基準を設けているケースが多いです。
例えば、工業製品を扱う工場と食品を扱う工場では、使用する機器や保管する材料など様々な違いがあります。また、工業製品の中でも、金属の加工と半導体の生産では適切な温度や湿度が異なります。そのため、それぞれのコア技術および該当法令やルールに基づいて管理基準を定めます。

このように、空気調和は空間を利用する対象や目的に応じて、分類されていることがわかります。

2.工場における空気調和

空気調和3

前項では、空気調和の4要素や分類について解説しました。その中で、産業空調には物理量としての統一の基準が存在しない点を取り上げました。しかしながら、日本では工場の空気調和に関して、エネルギーの合理化を目的とした設備管理や設備導入などの判断基準が設けられています。
本項では、工場における空気調和の判断基準の解説とクリーンルームに関する事項について解説します。

(1)判断基準

経済産業省では、エネルギー使用の合理化および非化石エネルギーへの転換を図るべく、エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づいた判断基準を作成しています。

上記には、空気調和設備(および換気設備)の総合的なエネルギー効率の向上をめざすために、以下の事柄が求められています。

①設備管理

空気調和を施す区画を限定し、設備の運転時間・室内温度・換気回数・湿度・外気の有効利用などをまとめた管理標準を設定する旨が記載されています。特に、燃焼を行う設備(ボイラなど)では空燃比の管理標準を設ける必要があります。

②計測および記録

空気調和を施す区画ごとに温度・湿度など空気の状態把握や、個々の設備および設備全体の効率改善に必要な管理基準を設けて、定期的に計測・記録することが求められています。

③保守および点検

フィルターの目詰まりの除去など設備効率の改善に必要な項目や自動制御装置における管理基準を設け、定期的に保守・点検を実施する旨が記載されています。
上記のポイントは、空気調和を施す区画ごとに管理する点と、設備全体の効率化や保全のために定期的な記録や点検を行う点です。他にも、ヒートポンプの採用や熱回収システムの導入を検討する旨も記載されており、環境に配慮した設備の管理および導入の判断基準とされています。

(2)クリーンルームについて

クリーンルームとは、塵埃を取り除き、空気清浄度を高めた空間を指し、医療・工業・食品・バイオハザードに分類されています。

①医療分野

医療の分野では、塵埃を取り除けば細菌の排除につながるという観点からクリーンルームを適用しており、手術室の他に医薬品・化粧品および滅菌医療機器の製造に使われています。
また、医療分野の場合、空気の清浄と同時に定期的な殺菌消毒や入退室管理なども行われている点が特徴です。

②工業・食品分野

工業分野では、半導体マイクロマシンなどの製造においてクリーンルームが採用されています。
これらは微細な異物が機器の焼付きや欠損を引き起こす可能性を否定できないためです。また、食品の分野では、虫や細菌などが食品に混入しないように、製造ラインにクリーンルームを採用しているケースも見られます。

③バイオハザード

バイオハザードの分野では、感染症の細菌やウイルス、放射能実験などヒトに害を及ぼす危険性が高い物質を扱います。そのため、上記3つのクリーンルームとは違い、室内を負圧(周囲より圧力を低くすること)にし、外部流出を防止している点が特徴です。

このように、クリーンルームは空気調和(特に清浄度の調整)を活用し、日常生活の利便性や安全性を高めていると言えるでしょう。

3.空気調和のシステム

空気調和4

前項では、工場における空気調和の管理や保守の判断基準からクリーンルームへの活用に関して解説しました。空気調和は、限られた区画から施設全体に至るまで、様々な空間の環境を整えるために用いられます。
本項では、空気調和システムの代表例として、空気供給方式と冷媒供給方式について解説します。

(1)空気供給方式

空気供給方式は、単一ダクト方式(1本のダクトを分岐させて各区画に空気を供給する方式)が広く用いられています。

空気供給方式

単一ダクト方式で使用される空調機は、ボイラおよび冷凍機で温度調整された水を用いて、室内および外気から供給された空気の温度を調整します。そして、調整された空気は各区画に送風機を用いて送られ、空気を循環させる仕組みです。

空気供給方式2

他にも、空気供給方式にはボイラと冷凍機を一室にまとめ、各階に空調機を設置する各階ユニット方式が存在します。この方式は、区画ごとに違った空調管理ができる点がメリットです。しかしながら、各区画に空調機用のスペースを用意する点や記録管理や保守点検の手間が増える点が難点と言えるでしょう。

(2)冷媒供給方式

冷媒とは、物を冷却するために用いられる流体の総称で、空気調和設備では環境に優しいフロンガスが広く使用されます。冷媒供給方式は、空気調和システムの1つで、ヒートポンプを利用し温度の調整を行う手法です。

冷媒供給方式1

冷媒供給方式2

ヒートポンプを用いた冷房時は以下のステップで冷媒が循環し、室内を冷却します。
▽冷房時のステップ

空気調和9

一方、暖房時は以下のステップにより室内を暖めます。
▽暖房時のステップ

空気調和10

上の2つの表では、ステップ①および③において冷媒の通る機器が交換され、空気に与える影響が変化しています。これは、冷房時と暖房時において、冷媒の流れるサイクルが逆転していることに起因します。

このように、冷媒供給方式はヒートポンプによる潜熱を利用し、1つのシステムで冷房時と暖房時を切り替えている点が特徴です。

【顕熱と潜熱について】

ここで、空気調和の気温および湿度の調整に重要な、顕熱および潜熱のコントロールについてご紹介します。

顕熱とは、等圧の下で物質の温度変化のために吸収・排熱される熱と定義されています。(JIS B 8624)
例えば、コンロを用いて水を温める時では、火の熱が水に吸収され、水の温度が上昇していきます。この時、水に吸収される熱が顕熱です。

一方、潜熱は、等圧の下で物質の相変化の時に吸収・排熱される熱と定義されています。(JIS B 8624)
これは、物質の状態変化に使われる熱を指しており、例えば水が蒸発により排熱される現象が挙げられます。

また湿度コントロールによって、潜熱を利用した温度調整が可能です。除湿することで、空気に含まれる水分(水蒸気)から熱が排熱され、空間の温度が上がります。対して、加湿すると水蒸気が熱を吸収し、空間の温度が下がります。

4.加湿器を利用した空気調和の重要性

空気調和5

画像引用:株式会社いけうち 事例紹介より

前項では、空気調和システムとして空気供給方式と冷媒供給方式について解説しました。これらのシステムは、主に温度の調整により空気調和を実現しています。
一方、空気調和は加湿器による湿度の調整でも実現可能です。
本項では、加湿器で空気調和を行う重要性について解説します。

(1)湿度調整の重要性

湿度とは、空気の飽和水蒸気量と実際の水蒸気量の比率です。正式には、この湿度を相対湿度と呼び、ある空気に現存する水蒸気量を示す絶対湿度と区別されています。
相対湿度(および絶対湿度)は、温度と以下のような関係を持ち、湿度の調整が温度の調整につながることを示唆しています。

  • 相対湿度低下(除湿)⇔ 温度上昇
  • 相対湿度上昇(加湿)⇔ 温度低下

【参考動画】加湿と室温の変化については、以下の動画も参考になります。

引用:【工場の静電気対策】基板実装工程の加湿事例|エアコンの省エネや浮遊ごみ対策にも【ゴミブツ対策】

また、湿度は静電気とも深い関係を持ちます。静電気は、2つ以上の物質が摩擦しあう時に、それぞれの物質の持つ電子の移動により帯電し、元に戻る際に放電する現象です。
湿度が高いと、物質の電子が水分子を媒体として放出されていき、静電気が発生しにくくなります。一方、湿度が低いと、媒体となる水分子が少なくなり、物質の電子がうまく放出されません。結果、摩擦により移動する電子の量が増え、静電気が発生しやすい状況が生まれます。

このように、湿度の適切なコントロールが温度調整のみならず、静電気の抑制にもつながることがわかります。

【参考動画】加湿による静電気の抑制については、以下の動画も参考になります。

引用:【静電気の発生を約70%抑制!】冬物の生地を扱う際のお悩み解消|ドライフォグ加湿システム 納入事例インタビュー【有木株式会社様】

(2)工場の加湿にはドライフォグ

ドライフォグとは、粒子の径が最大50μm以下の細霧を指しており、濡らさない霧と呼ばれています。粒子がきわめて小さいため、モノに当たっても破裂せずに弾かれることで、モノを濡らしません。また、ドライフォグを噴霧すると、直ちに空気中に溶け込み湿度に影響を与え、速やかに空間内の相対湿度が上昇し、温度を下げる効果を発揮します。

ドライフォグはモノを濡らさずに静電気を抑制できるため、様々な業種や工場レイアウトに活用できます。

空気調和6

(出典:株式会社いけうち

株式会社いけうちのドライフォグを利用した産業空調加湿システムAirAKI®(エアラキ)、空調加湿の専門技術者が現地調査や設計を行い現場湿度を最適化します。

5.空気調和のことなら株式会社いけうちへ

空気調和7

今回は、空気調和の概要から湿度調整の重要性までを解説しました。湿度コントロールによる空気調和は、温度の調整のみならず静電気の抑制にもつながりますが、導入の際は加湿方式の違いなど確認ポイントが多くあります。

産業空調加湿システムAirAKI®なら、モノを濡らすことなく精密な湿度の調整が可能です。大空間およびスポット空間の湿度をコントロールすることで、静電気によるトラブル発生を根絶し、蒸気式加湿からの切替でCO2排出量を約80%削減します。

湿度管理や静電気トラブル対策をご検討の際は、空調加湿のエキスパートが対応する株式会社いけうちにご相談ください。

 

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