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データセンターの湿度対策とは?重要性や基準、結露しない管理方法

データセンターは機器やシステムからの発熱による故障や不具合を防止するために、徹底した温度管理が行われています。その一方で湿度管理は温度管理と比較して軽視されがちです。
データセンターの適切な湿度管理は静電気によるトラブル防止につながるものの、適切な湿度の基準や具体的な方法が分からないという方も多いかもしれません。
今回の記事では、データセンターにおける湿度管理の重要性とともに、ASHRAEに基づいた適切な湿度管理の基準、具体的な湿度管理方法について解説します。

もし、データセンターへの加湿器の導入についてご検討中であれば、株式会社いけうちにご相談ください。「空調による温湿度管理がうまくいかない」「加湿をしたいが結露が心配」など、データセンターの空調設備で発生するさまざまな課題を解決いたします。


ドライフォグ加湿システムAirAKI(エアラキ)は2流体加湿器を用いて、ものに触れても濡れない霧(ドライフォグ)を省エネルギーで噴霧することができる業務用加湿器です。
より省エネ性能が高い、1流体加湿システムAirULM(エアウルム)は、比較的天井高さがある現場にお勧めです。

<目次>
1.データセンターにおける湿度管理の重要性
2.データセンターにおける温度・湿度の基準
3.データセンターにおける湿度管理の対策方法
4.まとめ

1.データセンターにおける湿度管理の重要性

データセンターが正常に稼動し続けるには、災害対策や温湿度管理が重要です。しかし、災害対策や温度管理は行っているものの、湿度管理まで手が回っていない、という現場もあるかもしれません。
ここでは、データセンターにおける湿度管理の重要性について解説します。

(1)静電気の防止

データセンター内の湿度が低いと空気が乾燥し、静電気放電(ESD)が発生しやすくなります。静電気放電によるスパークが発生すると、コンピューターやサーバーの誤作動や停止はんだ接合部や、回路、ピンなどの損傷の原因となってしまいます。

コンピューターやサーバーが誤作動、停止を起こすと、重要なデータの損傷や損失、企業サイトへのアクセス不可による販売機会消失や利益の低下企業の信頼の失墜などのリスクも発生します。さらに静電気によって損傷した部分から熱暴走が起きて、データセンターからの出火による火災が発生する可能性もあるでしょう。

特に、データセンター内にはコンピューターそのものを冷却する冷却ユニットのほか、温度管理のために空調設備を設置していることがほとんどです。空調設備を設置している室内は、空気が乾燥しやすくなります。データセンター内では空調設備を使って温度管理をしつつ、静電気を防ぐために加湿による湿度管理が重要です。

(2)冬場のメンテナンス不足による熱暴走の防止

外気温の高い夏場や湿度が高くなりやすい梅雨の時期は、データセンター内のコンピューターの故障リスクが上がります。そのため温度管理が重要視され、機器のメンテナンスが実施される機会が多い傾向です。
逆に温度や湿度が低い冬場は、夏場や梅雨と比較するとコンピューターのメンテナンス不足になりやすいです。

冬場はそのようなメンテナンス不足に加え、湿度が低く乾燥した状態が続きがちです。ふたつの要因が合わさることで、データセンターではコンピューター内部に埃がたまりやすい状況となります。
そしてそのような環境下でコンピューターを稼動させ続けることで、熱暴走や埃を媒介とした発火のリスクが考えられます。

冬場のデータセンターは、加湿による湿度管理がより求められると言えるでしょう。

(3)コンピューターや冷却コイルの結露の防止

データセンターでは、乾燥だけでなく結露対策も踏まえた湿度管理も求められます。前述の通り静電気や火災の予防として、データセンターの加湿による湿度対策は必須です。ただし、コンピューターの内部に結露が発生することも同時に避けなければいけません。
コンピューター内に結露が発生すると、部品の腐食による故障や不具合ショートによる発火や故障の恐れがあります。

また、データセンター内には、高温によるコンピューターの発熱状態を防止するための冷却ユニットが設置されています。冷却コイルに結露が発生すると、結露を除去するために冷却ユニットが冷却機能を高めて運転するため、電力コストが高くなることが考えられます。

結露による発火防止や、冷却ユニットの電力コスト適正化のためにも、結露対策を踏まえた湿度管理が重要です。

2.データセンターにおける温度・湿度の基準

データセンターにおける湿度管理は重要であると分かっているものの、「具体的にどのくらいの湿度にすべきか分からない」という方も多いかもしれません。データセンターにおける温湿度の基準について解説します。

(1)ASHRAEの推奨温湿度条件

データセンターにおける温湿度の基準として参考となるのが、ASHRAE(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers, 米国暖房冷凍空調学会)が「Thermal Guidelines for Data Processing Environments」にて公表している「DC(データセンター)推奨温湿度条件」です。ASHRAEとは、暖房、換気、空調、冷凍などに関わるあらゆる個人や団体のための国際的な学会組織です。

ASHRAEのDC推奨温湿度条件2015年度版ガイドラインによると、データセンターにおける推奨温度、推奨湿度は以下の通りです。

引用:https://www.ashrae.org/

湿度の単位や概要、性質については以下の記事でくわしく解説しています。

(2)参照:建築物衛生法における温湿度の基準

厚生労働省では、建築物の衛生環境の向上と、環境衛生上良好な状態の維持・管理を目的に「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(建築物衛生法)」を定めています。

建築物衛生法では、温湿度は以下のような基準を設けています。

また、「居室の温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと」とも言及しています。

引用:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=79073000&dataType=0&pageNo=1

ASHRAEの温湿度の推奨基準と比較すると、建築物衛生法の基準では、相対湿度の最高値が10〜15%ほど高くなっていることが分かります。一般的な建物とデータセンターにおける温湿度の管理基準には、若干の違いがあることを覚えておきましょう。

一般的な事務所やオフィスなどとは異なり、精密機器を稼動させるデータセンターには、データセンターのための温湿度管理が重要です。データセンターの性質や特徴に応じた基準での温湿度管理を徹底することが大切です。

また、ASHRAEのデータセンターにおける温湿度の基準は数年ごとに改訂が行われています。定期的に温湿度の基準値を確認しましょう。

.データセンターにおける湿度管理の対策方法

データセンター 湿度6

データセンターでは、空調や冷却システムとの兼ね合いを考えながらの適切な温湿度管理が求められます。ここでは、データセンターでの温湿度管理を実現するためのポイントおよび具体的な方法を解説します。

(1)コンピューターに干渉しない湿度管理システム

データセンターで常時空調システムを稼動させている場合、空気が乾燥しやすくなり静電気放電(ESD)が発生する原因となります。静電気放電はコンピューターの故障やサーバーの停止などを引き起こす原因となるため、静電気を発生させないためにデータセンター内の湿度を適切な基準まで上げなければいけません

湿度を高める代表的な方法に、加湿器があります。ところが一般的な霧や水蒸気による加湿器の場合、コンピューターの金属部分に干渉してしまい、腐食の原因となってしまうことも少なくありません。そこで、データセンターのコンピューターにも干渉しない加湿システムを構築することが重要です。

霧のいけうち」ではものに触れても濡れない霧(ドライフォグ)を使用し、湿度を最適化するソリューションとして「産業空調加湿システムAirAKI(エアラキ)」を展開しています。


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(2)電力コストを最適化する湿度調整システム

データセンターではクラウドサーバーやインターネットの通信網など、24時間稼動が必須となるコンピューターやシステムも管理しています。さらにコンピューターの高温化を防ぐための空調システムも24時間稼動しており、電力コストは少なくありません。
そのためデータセンターの湿度管理を導入する際は、電力コスト面でも最適化できるシステムをおすすめします。

産業空調加湿システムAirAKI(エアラキ)」は、きわめて少量のエネルギーで大量のドライフォグを発生可能で、蒸気式加湿システムと比較するとCO2排出量を約80%の削減にも成功しています。電力コストの削減や、環境負荷軽減の面でも選択肢となるソリューションです。

(3)エリア別に湿度管理ができるシステム

データセンターと併せて事務所やオフィスなどの湿度管理も行いたい場合は、事務所やオフィスなどで使われる一般的な蒸気式加湿システムとは別にデータセンター向けの湿度管理システムが求められます。データセンターでは蒸気がコンピューターに干渉してしまうためです。
このようなケースではそれぞれに加湿システムを用意するよりも、ひとつのシステムでエリアごとに管理できるものがおすすめです。

エリア別に湿度管理ができるシステムとしては、「霧のいけうち」の「クリーンルーム加湿システムHandAKI(ハンダキ)」をおすすめします。

室内へのダクト内に設置稼働させることで、エリア別に設定湿度を分けて加湿することが可能です。ドライフォグ噴霧により飽和効率90%以上で加湿し、密閉空間であっても濡らすことなく100%に近い加湿効率を実現しています。

(4)点検やメンテナンスの負担が少ない湿度調整システム

データセンターで加湿システムを設置した場合、定期的なメンテナンスが必要となります。特にデータセンターはコンピューターや空調などの管理する機器が多く、各機器のメンテナンス計画やコストとの兼ね合いを見ながら加湿システムの点検やメンテナンスを行わなければいけません。

データセンターの加湿システム導入後の点検やメンテナンスの負担を少なくしたいときには、外部のソリューションを利用する方法が有効です。

「霧のいけうち」では機器それぞれに必要なメンテナンスを定期的に実施するサービス「まかせっ霧」を提供しています。

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システム導入時はもちろん、すでにシステムを導入済みの現場でもご契約可能です。メンテナンスにかかる面倒な業務をまとめて任せられます。

4.まとめ

データセンターの湿度管理の重要性とともに、湿度管理の基準値、具体的な湿度管理の方法を解説しました。データセンターはサーバーやシステムを正常に稼働するための必須の環境です。コンピューターの誤作動によるサーバーダウンや発火、故障などの損失を出さないためにも、温度管理とともに適切な湿度管理が求められます。自社の情報財産やネット環境を守るためにも、温湿度管理を徹底しましょう。

データセンターへの加湿器の導入についてご検討中であれば、株式会社いけうちにご相談ください。「空調による温湿度管理がうまくいかない」「加湿をしたいが結露を起こしたくない」など、データセンターの空調設備で発生するさまざまな課題を解決いたします。


ドライフォグ加湿システムAirAKI(エアラキ)は2流体加湿器を用いて、ものに触れても濡れない霧(ドライフォグ)を省エネルギーで噴霧することができる業務用加湿器です。
より省エネ性能が高い、1流体加湿システムAirULM(エアウルム)は、比較的天井高さがある現場にお勧めです。

 

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